・アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎
アキレス腱の炎症は、腱自体が炎症するアキレス腱炎とアキレス腱を包む膜の炎症でなるアキレス腱周囲炎に分けられます。
しかし、密接する部分になるため2つの判別は難しくなります。断裂の場合はわかります。
≪発生原因≫
ランニング、ジャンプなどによりアキレス腱に繰り返しの負荷が加わったり踵への強い衝撃により炎症を引き起こします。
また、踵骨と足首の関係性や扁平足、下腿三頭筋の筋力の低下などでも症状が発生する可能性があります。
≪治療法≫
インソール、足底板などで足底への負荷を減少させる、下腿三頭筋のストレッチ、足関節への可動制限、運動制限などの保存療法になっていきます。
・アキレス腱断裂
アキレス腱は下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋)から踵骨(踵の骨)に付着する腱です。強い外力によって発生する為、断裂時には強い痛みを感じ機能的にも重症化しやすくなります。
スポーツによって発生することが多く、とくにバレーボールの様なジャンプの着地時に発生します。また、発生には腱の変性、老化が関与するとされるため、中年以降に多くみられます。
≪発生原因≫
ジャンプの着地時など、アキレス腱に過度の伸展力がかかった際に発生します。断裂時には断裂音(バチンというような音)を聴くことがあります。
患者は一般的に「バットで叩かれたような感覚」と言います。
≪症状≫
不全断裂(部分)
完全断裂
完全断裂時はアキレス腱断裂部が陥凹して下腿三頭筋に力が入らなくなります。不全断裂の場合は限定的ではあるが力は入ります。どちらにしても、歩行は困難となります。
また、つま先たちは不能になります。断裂部位は陥凹するが出血が多くある場合は逆に腫れてしまうため陥凹の触知は難しくなります。下腿三頭筋を押さえると本来足関節が動くがアキレス腱断裂時には動かなくなります。
≪治療法≫
膝関節上部もしくは、大腿部から足趾まで固定します。
筋委縮や筋力低下の防止を目的に、受傷後早期から物理療法、手技療法を始めます。状態を見て軽度の運動を始める場合があります。
その後、通常運動の開始し、歩行訓練を開始します。
全治6〜12カ月くらいはかかる為、その際の再発には十分注意が必要です。
初見での損傷がひどい場合は手術となることもあります。
・過労性脛部痛(シンスプリント)すねの痛み
≪発生原因≫
陸上競技に多く見られます。ランニング、ジャンプ、スタート(瞬間的力)急停止などに伴う足関節の底背屈により下腿部の筋肉の継続的に牽引する事により、下腿に疲労が溜まり脛骨の骨膜に炎症をきたします。
≪症状≫
脛骨内側部(すね)に疼痛、圧痛、歩行痛を訴えます。
足首のストレッチ行うことで痛みが発生することが多くなります。
炎症があるにも関わらず繰り返し足関節の運動を行う事で疲労骨折を引き起こす可能性が高くなります。
≪治療法≫
まめなアイシング、運動の中止、下腿部のストレッチや手技療法を行う。その後は、温熱療法と下腿三頭筋、前脛骨筋のストレッチを行う。また、下腿の筋力強化を行います。
足底の保護も有効です。
・足関節、足部の捻挫
足関節は脛骨、腓骨、距骨によって構成される関節です。
足関節の捻挫は日常的に多くみられる外傷です。外側側副靭帯損傷と内側側副靭帯損傷があります。
外側側副靭帯損傷(特に多い)
多くは足関節を内がえしすることによって発生します。また、足関節が固定され下腿が回旋された場合も発生します。外側側副靭帯の中でも前距腓靭帯がもっとも多くみられる損傷です。
前距腓靭帯には足関節の内がえしを抑制する機能と距骨の前方移動を制御する機能があります。したがって損傷によって足関節内反動揺性がみられるようになる場合があります。
≪症状≫
足関節外側部に疼痛、腫脹がみられます。重傷の場合は外果下方に皮下出血が発生し歩行痛が強くなったり立ち上がりが困難になります。
受傷後の経過と疼痛や腫脹などの損傷程度が必ずしも一致するとは限りません。
(例:痛みが少ないが腫れがすごい)
≪治療法≫
負傷初期にはRICE処置(特に冷罨法)を行い、固定を行います。腫脹が激しい場合は高くあげていた方が良い場合もあります。固定はサポーター、テーピング、厚紙副子、シーネ固定など状態を見て変化させます。
通常は2~3週間で固定を外すことができるが患部の腫脹の状況や不安定性の状態によっては長期を要するものがあります。靭帯の完全断裂が見られる場合は1ヶ月以上の長期療養となります。
物理療法、手技療法を行います。固定時の関節拘縮防止の観点から足指部の運動療法を行なっていきます。
スポーツを行う場合は再発の可能性が大きい為、治癒後数ヶ月は、サポーター固定もしくはテーピング固定をした方が無難です。
固定がうまくいっていなかったりや固定期間不足により慢性化する恐れもあります。
・外反母趾
外反母趾は足の第1指の第1関節(MP関節)で外反する足指の変形です。
女性に多く見られ、原因は色々考えられます。代表的な原因でハイヒールなどつま先の細い靴や内側縦アーチの低下(扁平足)があげられます。
≪症状≫
第1指MP関節部に疼痛および外反変形がみられる。患部の変形によって靴擦れなどを起こすこともあります。
≪治療法≫
物理療法、専用サポーター、足底板の挿入(内側縦アーチの形成)、靴の指導などを行いますが、治癒が難しいものが多くなります。